応募者がファンになる!【大転職時代の採用面接術】セミナーレポート
こんにちは、TEAM FORWORDの竹田です。
2024年9月19日に、静岡市で「応募者から、あなたの会社のファンへ変える!静岡県人事が語る、大転職時代の採用術セミナー」というテーマでイベントを開催いたしました。
今回のセミナーは、僕が主宰する人事担当者のオンラインコミュニティ「静岡人事サロン」主催のリアルイベントです。メンバー以外の方もご参加いただけるよう、静岡のイノベーション拠点「SHIP」を会場に、サロンから外部に向けて開催した初セミナーでした。
(当日は多くの方にご参加いただきました。交流で盛り上がる様子をみて、僕自身も感動!)
このnoteでは、人事担当者に役立ててほしいとお伝えした講座の内容を、より多くの方の参考になればと思い、前回と同様に、コンテンツクリエイターのてるさんに取材レポートをしていただきます!
てるさん、今回もよろしくお願いします!
取材・編集担当てる
はい!ありがとうございます。
コンテンツクリエイターの、てると申します。
ここから先は、セミナーの取材レポートとなります。
まずは、「静岡人事サロン」副主宰の岩上さんが、コミュニティ立ち上げ前夜のお話を披露してくださる場面から始まります。一体どんなきっかけで、「静岡人事サロン」が誕生したのでしょうか?
それでは、「採用面接術」セミナーのスタートです!
【目次】
オープニング
静岡人事サロンとは
静岡人事サロンのコンセプト
【Part1】面接での動機づけテクニック
動機づけが出来る場づくりに必要な3つのポイント
1.傾聴
2.質問
3.承認と賞賛
自己理解を深める5つの質問
【Part2】面接の見極めテクニック
見極め質問のコツ!9箇条
第1条:事実と共感はサンドイッチにする
第2条 決めつけをしないために、オープンクエスチョンを使う
第3条 具体的なエピソードを聞く
第4条 違和感を抱いた事柄は納得いくまで掘り下げる
第5条 全体の中の相対評価を確認する
第6条 最初に語った言葉を鵜呑みにしない
第7条 相手の言葉をそのまま使う
第8条 自社の欠点を伝える
第9条 転職理由は一文字残らずメモする
エンディング
編集後記〜サロンのご案内〜
オープニング
岩上
みなさん、こんばんは!
「静岡人事サロン」副主宰の岩上和樹と申します。本日はよろしくお願いします。
当サロンが外部開催する初の対面イベントとして『静岡県内の人事が語る!大転職時代の採用面接術セミナー』と題し「応募者が、あなたの会社のファンに変わるセミナー」を開催させていただきます。
多くの方に集まっていただき、本当に嬉しく思っております!
静岡人事サロンとは?
岩上
まず初めに。
「そもそも静岡人事サロンってなんぞや?」
と疑問に思っていらっしゃる方へ、ご説明させていただきますね。
始まりは、ほぼ1年前の2023年9月28日になります。
当時、静岡人事サロンの前段階として、静岡マーケティングサロンというザキヤマさん(山﨑啓輔氏・株式会社ヤマザキスポーツ 代表取締役)が主宰されているオンラインサロンの部活動「人材採用部」が始まっていました。
部活動のなかで
「静岡型の採用フレームを、マーケティングの力を用いて作れないか?」
という議論が盛り上がり、かなり熱くなっちゃった男というのが、主宰の竹田敬介さんです。
忘れもしない、昨年の9月27日のこと。
ふたりで飲んでいる時に、 竹田さんが静岡人事サロンの構想を熱く語っておりまして。
(ちなみに、お店の名前もタケダでした笑)
アルコール度数8%のレモンサワーをがんがん飲みながら語り合い、あれよあれよという間に夜が明けて。
翌28日になった朝に、竹田さんが
「人事サロンのミーティングをオンラインでやりましょうー!」
と高らかに宣言したところからスタートしたわけです。
そして、決まったら即行動の竹田さんは、静岡人事サロンのコンセプトを、速攻で2つ掲げました!
静岡人事サロンのコンセプト
1.静岡県の人事に関わる人たちが悩みやノウハウを提供し合い、みんなでアップデートして共創する
2.人事担当者たちの仕事が、より楽しくなる場づくり
現在は約30名のメンバーが在籍し、月1回のオンライン交流会で「パラレルワーカーの活用事例」や「新卒の傾向と対策」など、人事についての知見をシェアしたり、「初めて人事になったんだけど、何から取り組むべきかわからない!」という方に向けて、人事の基礎を教えたりしています。
リアル交流会も月1度の開催ですが、いずれも任意参加と、忙しい人事担当者が無理なく続けられるペースで、活動させていただいております。
【Part1】面接での動機づけテクニック
岩上
さて本編です。
「優秀人材を逃さない!面接での動機づけテクニック」というテーマで、サロンメンバーのひとしくんからお話をいただきたいと思います。
では、ひとしくん、よろしくお願いします!
ひとしくん
みなさん、こんばんは。ひとしくんと申します。
簡単に自己紹介させていただければと思います。
静岡県西部にある企業の人事企画課で、人事業務全般をやっております。キャリア相談やキャリア開発の仕事をメインにしてるんですが、今日はその中でも「採用面接時の動機づけテクニック」について、15分ぐらいでお話させていただきます。
まずはこちらのデータをご覧ください。
みなさん、たぶんご存知だと思うんですが、 今や「大転職時代の到来」といわれていまして、転職をされる方がとても増えてきているんです。
総務省の調査によれば、2023年の平均転職希望者数は、既に1000万人を超えていて、実に1007万人。 この年に初めて1000万人を超えてきました。
転職希望者の転職希望率も15.3パーセントと、大体6人に1人ぐらいが転職を希望しているという現状になっています。
次の資料は、人事のみなさんがよくご存じの「 伊藤レポート」です。通称人材版伊藤レポートと呼ばれる報告書のなかに
「囲い込み型から、選び選ばれる関係へ」
という印象的な言葉があるんですが、それを図式化したものです。
どんな内容かというと、「 個人が自立・活性化し、企業と対等な関係になっている現代においては、囲い込み型ではなく、企業と個人が 互いに選び選ばれる多様性のあるオープンな雇用コミュニティを推進していくことが求められる」ということです。
「囲い込み型」とは、労働者を自社独自の価値観やルールで染め上げて、転職を選択できなくなるように囲い込むやり方をいいますが、現代の企業にとっては既に適切な人事戦略ではなくなっています。いわゆる「新卒一括採用」も、もはや適切とはいえない状況なんです。
では、「選び、選ばれる関係性」になっていくためには、どうしたらいいか?
やはり自社のファンを作っていくことが必要です。
そこで 今、いわゆる採用におけるCX(候補者体験)が注目を浴びています。
大切なのは、ファン獲得を目的とした候補者体験の設計です。
面接は運や相性がありますから、必ずしも合格するとは限りません。でも、「この会社の面接を受けて良かった」とか、「出会えてよかった」と感じてもらえるような設計をしておけば、潜在候補というかたちで、その後もつながってくれるんです。
面接時に企業が求めるスペックや入社時期がマッチせず、 採用には至らなくても、1年後や2年後に、別の求人が出る可能性もあります。
その会社に対していい印象を持っていると、新しい求人が出た時にもう一度応募してくれて、受かる可能性があるわけです。
あるいは、受からなくても顧客になる可能性は十分あり得るので、 自社のサービスの顧客という観点でも、面接を受けた際に「この会社に出会ってよかった」と思ってもらえる設計をしておきたいですよね。
では、どうやって面接でいい印象を持ってもらうかというと・・・ 、こちらのデータを見てみましょう。
注目してほしいのは、左側です。
入社を決める理由の1位が、面接官の対応となっていますね。
面接した際の、面接官の人柄や印象が良かったためが、65パーセント。
面接官が話しやすい雰囲気を作ってくれたためが、46パーセント。
かなりの確率で入社の決め手が面接官の対応だったことが、この調査から見て取れます。
逆に、入社したくないなと思った理由の第1位は、 面接官の対応が不快だったことです。
態度が横柄だったりとか、 セクハラや圧迫面接だとか。総合的にみて面接官の態度が不快と感じたことが、 給料や仕事内容の良さを上回って、 入社を辞退してしまうケースが非常に多いわけなんですね。
では、求職者を引きつけて動機づけができるような面接の仕方や、場のつくり方とはどういうものなんでしょうか?
簡単にまとめてみました。
動機づけが出来る場づくりに必要な3つのポイント
まず忘れてはならないのは、大前提として企業と求職者は対等な関係ということです。これがもう本当に大切なので、必ず覚えておいてくださいね。
そして、どうやって場をつくっていくか。
ポイントは、3つあります。
1.傾聴
1つ目は、 傾聴です。
求職者の本音を引き出して、自由に対話ができる場を作るということ。
これは、キャリアコンサルタントの資格を持っていらっしゃる方や、勉強された方は必ず聞く言葉だと思います。
傾聴をさらに分解すると、 受容、共感、自己一致の3つの言葉に表されます。
【1】受容
求職者を尊重して、そのままの感情を受け入れ、肯定的に関心を持つことです。面接の場合、求職者の方が話したことに対してすぐ質問で返したり、あるいは「そうなんですね」と全てを受け入れる状態です。
【2】共感
求職者の立場に立って気持ちを正確に理解するということです。共感では、求職者の方がすごく大変だったことを、オウムがえしに「大変だったんですね」と返してあげるのも1つですが、もう1段上のテクニックとして、相手の心情の意味を返してあげるというものもあります。さらに共感を呼び、心を開いてくれます。
【3】自己一致
求職者を無条件に公的な気持ちで受け入れてあげる状態です。
2.質問
次に、2つ目は質問です。
求職者の自己理解を深めるような質問をしたいですね。
また、接し方も大切です。
非言語コミュニケーションとか、 いわゆるノンバーバルという、相づちをしっかりしてあげることや、アイコンタクト。にこやかな表情で、相手を受け入れる姿勢をみせていくことが重要です。
効果的な質問方法としては、5W3Hや、オープンとクローズのクエスチョンをうまく使いながら、 求職者の自己理解を手助けしていきましょう。
3.承認と賞賛
3つ目は、承認と賞賛。
相手の素晴らしい出来事や、結果を褒めることが称賛です。
承認は、相手の行動やセンス・価値観を褒めることです。
素晴らしい結果が出たとき、すごい成果を上げたことを称賛しつつも、 それに至った経緯や行動力や考え方をふくめて褒めてあげましょう。言葉にして伝えることが、承認になります。
心を開くことと、面接官に対して信頼感を持っていただくこと。
それらが、動機づけをするための場作りになっていきます。
自己理解を深める5つの質問
これらは、本人の自己理解を深めるための質問の仕方です。
1番初めは、 今までやってきたお仕事の概要をお聞かせくださいという形で、 求職者の方がどんな業務をしてきたかを、ざっくりお話してもらいます。
その上で
「今までの仕事や業務の中で、1番印象に残っていることはなんですか?」
と質問をして考えてもらいます。
2番では
「仕事のなかで工夫したこと(頑張ったこと)はなんですか?」
この質問で、 本人が力を入れて取り組んだところをさらに少し深掘りして言語化し、
「そんなに頑張ったんですね、そこまで注力してお仕事をされたんですね。」
と、承認して自己肯定感を高めてあげるといいです。
3番で、相談者のやりがいの部分を引き出してあげましょう。
「 1番やりがいを感じているところは、どんな時なんですか?」
例えば人事に携わってる方ですと、社員が成長していくことにやりがいを感じるであったりとか、会社の制度を作っていく方の場合は、制度の導入によって会社の雰囲気が良くなり、やりがいを感じますとか。そういった言葉を引き出してあげられるといいです。
4番です。
「働く上で大切にしていることはなんですか」という質問で、価値観を本人の口から明確にしてもらいます。キャリコンの言葉でキャリアアンカーといいますが、仕事をしていく上での譲れない価値観のことです。何を大切にして仕事をしているかを、ここで言葉にしていきます。
最後の5番では、1〜4番で出てきたことを統合します。
「あなたは将来どんな働き方をしていきたいんですか」「 将来の目標はなんですか」と問いかけて、未来に向けてどんなイメージを描いているかを引き出していきます。
こういった形で、1つの仕事に関して深掘りをしてあげると、 本人が気づいていない部分も言葉にして伝えてあげることができます。
「あなたはこういうところが強みなんですね」とか、「すごく頑張って成果を出したんですね」と伝えることも、モチベーションや自己肯定感の向上に繋がりますよね。
あとは、細かいところの情報収集により、求職者の価値観を知ったうえで、それに合わせて自社の魅力を伝えてあげると動機づけに繋がっていったりします。
以上、簡単ですが、動機づけができる基礎作りについて、お話をさせていただきました。
岩上
ひとしくん、ありがとうございました!
では、次のパートに進みたいと思います。
こちらは「入社後の活躍をゴールとした、面接での見極めテクニック」がテーマとなっております。
我らが静岡人事サロン主宰の竹田さんからお話をいただきます。
竹田さん、よろしくお願いします!
【Part2】面接の見極めテクニック
竹田
はい。ではここから私が担当させていただきます。
静岡人事サロンを主宰しております、竹田敬介と申します。
よろしくお願いいたします。
私は普段、採用コンサルティングの仕事をしているんですが、 いろんな企業さんの人事の方と一緒にお仕事をさせていただく中で、 人事担当者の方って、ほんっとに社内で奮闘してる方が多いなって気づいたんですね!
そこで、冒頭に岩上さんがお話した通りの経緯で、1年前にコミュニティを立ち上げました。
これから「面接の見極めテクニック」についてお話していきますが、本編に入る前に、1つだけみなさんに考えていただきたいことがあります。
面接でもっとも大切なマインドセット
家族でも友達でも恋人でもいいんですけれども、みなさんのことを1番知ってる、1番理解してくれてるなと思う人を、ひとり頭に思い浮かべていただけますか?
思い浮かべたあとに、ご自身へ問いかけてみてください。
「その人はみなさんのことを、100%知っていると思いますか?」
100%です。
いかがでしょう?
はい。
どんなに親しい方でも、100%は知らないですよね。
これって当たり前のことなのですが、違う人生を生きてきた人のことが全部わかるなんて、無理に決まってるんです。
でも、みなさん人事として面接をたくさんやられていて、どうでしょうか?
なぜか面接になると、わかるような気がしてしまうんですよね。
5年も10年も面接をやっていると、「○○大学を出てるからこの子は地頭が良い」とか、「こういう職業についている人って、たいていコミュニケーションが苦手なんだ」とか、口に出さなくても先入観を持ってしまうことがあるんです。
今から「面接の見極めテクニック」をお話するにあたり、大前提として、
他人のこと、他者のことは、絶対にわかり得ない。
わかり得ないからこそ、わかりたいんだ。
少しでもわかりにいくんだ!
こういうマインドが土台になるので、頭の片隅に入れておいてください。
「相手に関心を持つこと」を、面接のたびに心のスイッチを入れるのがお勧めです!
これからいろいろお話しますが、このマインドが実は今日1番お伝えしたいことになります。
では、ここからは面接で相手をより知るために必要な「見極めテクニック」についてお話させていただきます。
まず何を見極めるかを考えていきましょう。
こちらに、『カッツモデル』というフレームワークがあります。
組織人として必要なスキルとも言われるものです。
1番右側のテクニカルスキルは、新入社員が1番必要なものです。
例えば、営業マンの販売スキルや、大工さんが家を建てるためのスキルなどですね。
一方、左側のコンセプチュアルスキルはその逆です。
例えば、今の物価高や猛暑や人口減少など、そういった世の中で起きていることが、自社の事業にどう影響があって、どういう打ち手を考えていくべきか?
これらは新入社員には必要とされませんが、階層がかわっていくと重要事項となっていきます。
注目して頂きたいのが、ヒューマンスキルです。
人間性や人柄は、新入社員から経営層までずっと必要なんですよね。
ですから、変わらない部分であるヒューマンスキル≒人間性を見極める。
「知りにいく」ということが、1番大事なのかなと思います。
そして、普段いろんな企業さんの面接を見ていて感じるのですが、
「何を見極めたいのか?何を知りたいかがわからない方」
は、そんなに多くないんです。
それよりも、
「知りたいことはあるんだけど、どうしたら知れるのかがわからないまま面接が終わってしまう。 」
というケースが多くあります。
なぜかというと、「どういう質問をしたら、その欲しい答えが返ってくるのかがわからない」とか、 さきほど圧迫面接というワードもあったように「ストレートに聞きすぎると怖がられるんじゃないか?」と心配になって聞けないんですね。
なので、その辺りをうまくやっていけるようなテクニックをお話ししていきます。
これからお話するのは静岡人事サロンの中で話し合いをし、メンバーが工夫していることをまとめたら、9箇条になったものです。
この9箇条がテクニックの全てではないですし、時と場合によって複数を組み合わせて使ったりもするものですので、必ずしもこの通りにやれば良いというフレームではなく、必要に応じて柔軟に使いこなすものだと思ってください。ぜひ、ご参考にしてください。
第1条:事実と共感はサンドイッチにする
これは2つのステップで行います。
1つ目は、事実を確認すること。
これができていない人、実は結構多いんです。
例を出して考えてみましょう。
面接の際に
「入社後、最初は大変なことも多いと思いますが、本当に頑張れますか?」
と聞くと、大体「頑張れます!」って言いますよね。頑張れないですっていう人は、なかなかいないですから。
でも、その場合、本当の気持ちがわからないままです。
ポイントになってくるのは、過去の事実を聞くことです。
例のような場合
「慣れない環境の中で、やり抜いた経験があれば教えていただけますか?」
という言い方の質問をして、過去に経験した事実を聞きます。
でも、やりすぎると取り調べみたいな雰囲気になっちゃうので、そうならないために「共感して受け止めてあげる」を2のステップで行っていきます。
例えば「ハードワークで体がしんどくて…ちょっと転職考えてるんです」って言われた時。
このハードワークという言葉ひとつとっても、毎日1時間の残業がハードワークと感じる人もいれば、月に2日しか休めないことがハードワークという人もいるので、事実確認が大事なんですね。
「具体的にどのぐらい働いてるんですか?」と聞いて「毎日朝の7時から10時ぐらいまで」と言われたら「そんなにですか!さすがに体はしんどいですよね。大丈夫ですか?」と共感をしてあげる。すると「いや、そうなんですよ、この間もちょっと若手の子がやめちゃって・・・」と、自分から話してくれるようになります。
自分からしゃべってくれる関係ができてくると、ちょっと厳しめな事実の質問も、さらっとできるようになるので、面接の後半になればなるほど聞きたい質問がしやすくなっていきます。
だから、事実と共感をサンドイッチにしてあげるといいんですね。
第2条 決めつけをしないために、オープンクエスチョンを使う
オープンクエスチョンと、クローズドクエスチョンの二つの質問方法があります。回答者が自由に答えられるオープンクエスチョンと、「はい/いいえ」で答えてもらうクローズドクエスチョンです。
第1条と同様に「本当に頑張れますか?」と聞かれたら「頑張れます!」と答えるしかないですが、そうではなく
「最初は業界知識を覚えることが多いんですけども、その辺りどうですか?」
こういう聞き方をすると
「 いや、正直そんなに物覚えがいい方ではないんですけれども、今まで誰よりも努力して結果を出してきたんで、この会社でも同じように頑張ろうと思います!」
こんな答えが返ってきたりします。
記憶力が良くないというネガティブなポイントと同時に、この人は自分の弱みをちゃんとわかった上で、克服した方なんだなということもセットで見えてきました。決めつけないことで、相手をより具体的に深く知る機会を得ることができます。
第3条 具体的なエピソードを聞く
求職者から「論理的思考力」のように抽象的な言葉がでてきた場合は、具体的なエピソードを聞いて解像度をあげていきましょう。
また、面接官としては自己評価だけでなく他者評価も知りたいところですので、その他の質問方法にあげた「上司や同僚から褒められたエピソード」などを聞くことで、社内評価や、それを自分がどう感じていたかについて知ることができます。
第4条 違和感を抱いた事柄は納得いくまで掘り下げる
これはもう、自分との戦いだと思います。
深掘りするのは怖さもあるんですが、慣れです!
なぜその会社がいいと思ったかの質問に
「家が近くて。うちここから10分ぐらいなんです」
と返ってきたとき。
ここだけ聞くと「それだけで応募したの?」って見えちゃうんですけど、
「家から近いことが、そんなに大事なんですか?」
と聞くと
「実は、家庭の事情で6時には帰らないといけないんです。 」
さらに重ねて
「どうして6時までに帰らないといけないんですか?」
「保育園のお迎えの時間が決まってるんで。」
ああ、この人は6時までに帰らなきゃいけない理由と、家から近い所がいい理由がちゃんとあるんだ。別にやる気がないわけじゃないんだなって、わかりますよね。
すると次に「じゃあ残業はできないのかな?」と疑問がでてきます。そこもそのまま聞いてみます。
「これまでの仕事も定時内でやってきたんですか?」
「いいえ。今の仕事はフルフレックスだったので、朝早く出社したり、リモートワークで対応してました」
ここまで聞くと、全く問題ないんだとわかります。
見極めというとネガティブなイメージなんですが、そうではなくて、どこまでなら対応可能かを測るための、むしろポジティブな深掘り質問になります。
第5条 全体の中の相対評価を確認する
これは特に営業職の採用の中でよくあるんですが、職務経歴で「目標達成率120パーセント」とか「MVPを獲得しました」って書いてあると、それだけですごいですねってなりがちなのですが。
目標設定って会社によって全然違いますよね。達成率 120パーセントの人がたくさんいる会社や、逆に100パーセントの人なんて1割いるかどうか…という会社までさまざまなので、ここを確認しないとその人の営業力は見極められないままになってしまいます。
「相対評価で見た時に、その120パーセントって全体の中で上位何パーセントぐらいなんですか?」
と聞いたり
「目標達成する人って何割ぐらいいますか?」
という聞き方をして、数字を出してもらうのがいいですね。
第6条 最初に語った言葉を鵜呑みにしない
面接では面接官もそうですが、受ける側は、特に不慣れなコミュニケーションになるんです。新卒と転職とで何回かあるとしても、人生の中でそんなに多く経験することではないので、 スラスラとは話せません。
なので、最初に語ったことが全てではないということです。応募者は事前に準備していたことを語りがちなので、よくわからない話になったりしますが、そこをしっかり聞いてあげましょう。
これは、私が実際に聞いた話です。
住宅営業の募集で、なぜ応募したんですかと聞いたら、
「いつか一軒家を建てるのが夢なので、住宅業界を志望しています!」
とすごい元気に言ってくれたんですが、面接官は「でも家を買うのと売るのって全然違うんじゃないか?」って思ったんですね。
そこで、「私は」から始まるアイメッセージを使いました。
「 私には、自分が家を建てることと、家を売る仕事をすることは、全然違うことのように感じるんですが、その辺りっていかがですか?」
オープンクエスチョンも入っています。
「いや、僕は営業の仕事が好きなんで、営業の仕事を続けたいんですよ。でも家も建てたい。
だったら、住宅営業なら、自分の家を建てるにあたって勉強になると思うんですよね。で、家を建てたあとは自社のユーザーになるので、その体験が営業で役立てるから、住宅業界がいいと思ったんです!」
ここまで聞くと、最初と全然違う印象がしませんか?
初めに「あれっ」と思うことを言われても、鵜呑みにせず冷静に聞いてみることが大切です。
第7条 相手の言葉をそのまま使う
これもやってしまいがちなんですよね。
「人の役に立ってると感じられる仕事がしたいんです。」
と言われた時に、
「なるほど、社会貢献したいんですね。 」
と言葉を変えて返しても、成立してるような感じがします。
でも実はもしかしたら
「すごく大きな会社で既に社会貢献をしているんだけれども、全体のごくごく一部だから、自分が役に立ってる実感がない。」
こんな理由かもしれないんですよね。
だとすると、この人の言う「人の役に立ってる」ことと社会貢献って全く別物なんです。
ですから、質問するときにも
「どんな時に人の役に立ってると感じるんですか。」
と相手の言葉を使いましょう。
「学生の時に居酒屋でアルバイトしてたときに常連さんが来て、いつもありがとねと言ってくれたんです。あの”ありがとう”をまた聞きたいんですよね。」
なんて言うかもしれません。
相手と違う言葉は使わないように。一次面接から二次面接への申し送りでも、そのままの言葉を伝えるとベストですね。
第8条 自社の欠点を伝える
この「自社の欠点を伝える」ということについて、今日のセミナーの打合せ中に人事サロンの中で出てきた質問なんですが、
「深夜の4時まで働くことって、欠点として伝えていいんですか?」と。
これは本当にタイミングによります。
説明会でそんなことを言ったら、たぶん誰も来てくれないですよね。
でも、この人に内定を出すかどうかのようなタイミングであれば、むしろ言っておかないとミスマッチになる可能性の方が高いんです。
たとえ、年に何回かの話だとしても、「年に何回かですがそういうことがありますよ」って言っておかないと、「そんなこと聞いてないです!」ってやめてしまうケースもあったりするんです。
選考の後半で、本当にこの人は覚悟があるかを確認する段階で伝えるのがいいと思います。
第9条 転職理由は一文字残らずメモする
これは質問というより、質問するための準備です。
転職理由というのは、その人の本当がすごく詰まっています。私が面接する時は、転職理由だけで20分間くらいは話をしたりするんです。 例えばこんな感じですね。
求職者
「今回転職を考えた理由は、キャリアの新しいステージに進みたいと感じたためです。」
竹田
(キャリアって何だろう?役職が上がること?プライベート? 新しいステージって何のことをステージって言ってるんだろう?)
求職者
「現職で営業として様々な経験を積むことができて、多くのスキルを身につけましたが、より大きなチャレンジと成長の機会を求めています 」
竹田
(どんな経験を積んできて、何ができるんだろう?今までどんなチャレンジをして、どんな時に成長を感じてきたんだろう?)
とまあ、聞きたいことだらけなんですね。
耳だけで聞いてると面接中に忘れちゃうので、一文字残らずは難しいんですが、それぐらいの気持ちでメモしておくと後から聞き漏らしがなくなりますよ。
以上、駆け足でしたけれども、全9箇条のテクニックについてお話させていただきました。
もう1点。時間の関係で簡単にお話しますが、面接での見極めがなぜ難しいのかといいますと、選考基準が定まってないからというケースがとても多いです。
求人票とか求人広告に「未経験歓迎」って書いてあるにも関わらず、営業部長が面接すると「いやいや、この年で未経験なんて、そもそも採用できないです!」なんてことがあったりするんです。
社内の採用に関わる人たち全員で、「どういう人なら採用するのか」を最初に決めておきましょう。特に、求人費用をかける前に決めておくことが、非常に重要だと思います。
これで、私のパートは終了させていただきます!
エンディング
岩上
竹田さん、ありがとうございました!
今日は2つのテーマでお話いたしましたが、ぜひテクニックをお持ち帰りいただいて、明日以降のお仕事に活かしてもらえたら嬉しいなと思います。
ここで、参加者の方からご感想をいただきましょう。
竹田さんのお話のあとにグループでディスカッションしていただきましたが、いかがだったでしょうか?
参加者
今日はありがとうございました。私たちのグループでは、面接官をやってらっしゃる方と私と、もう1名は採用担当として応募者と長く関わる方だったのですが、竹田さんの9条には気づかされるところがすごくありました。
やっぱり関わるなかで、深掘りするのが怖いっていうのはめちゃくちゃ感じるところがあります。
「ここまで聞いていいのかな」とか、「センシティブな質問をすると帰っちゃうんじゃないか」と不安もあったんですけど、みなさんと情報交換する中で、 事前にこういうことを言っておくとクッションになるよとか、相手の言わない権利も守られるよというコツを教えていただけました。
すごい経験豊富なみなさんだからこそのお話がたくさん出てきて、 明日からやってみたいノウハウもあって、とても勉強になりました。ありがとうございました!
岩上
素敵な感想のシェアありがとうございます!
実は、静岡人事サロンの想いとして「みなさんと仲間になりたい!」「みなさん同士をつなぎたい!」という想いもありましたので、喜んでいただけて嬉しいです。
こうしてイベントができたことに、私は今、すごく感動しています。
みなさん、本日はご参加いただきまして、本当にありがとうございました!
編集後記〜サロンのご案内〜
取材・編集担当てる
今回は「静岡人事サロン」初のリアルセミナーのレポートをお届けしました。
わたしも参加者として聴かせていただき「面接の時にここまで考えて対応しているの?」と言葉えらびや細かいテクニックに驚きました!応募者の信頼を獲得して心を開かせ、距離感をみながら「本当の想い」をひきだして採用につなげていく。
「こんなに沢山のことを考える必要がある業務だって、他部署の人には理解しにくいだろうな〜」と感じたので、静岡人事サロンのようなコミュニティが必要なのだと思います!
もし「静岡人事サロン」に興味をもたれた方は、ぜひ竹田さんにご連絡ください。
きっと、想いをおなじくしている仲間たちが大歓迎してくれますよ!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。