採用が難しい時代にこそ必要な「伝わる採用」― SNSが担うべき本当の役割とは ―

こんにちは、TEAM FORWORDの竹田です。

ここ数年、SNS採用に関心を示す企業が増えてきました。

一方で、

「興味はあるが手をつけられない」
「始めたはいいものの、なかなか続かない」
「まったく成果が見えない」

といった声も多く、SNS採用は中小企業にとって「つかみどころのない存在」になりがちです。
しかし結論から言えば、SNS採用は活用次第で非常に大きな効果を生む手法です。

その鍵となるのが、求職者の体験設計 を理解することなのです。

企業が採用活動で伝えるべき情報は、求職者が体験する
認知 → 理解 → 好意 → 想起 → 自分事化 → 決意
というプロセスと密接に結びついています。

本記事では、この流れに沿ってSNSの役割を整理しながら、
企業がどの段階で・何を・どう伝えるべきなのかを深掘りしていきます。

【目次】
1.SNSは「認知拡大」には向かない
2.SNSは「理解を深める箱」として活かす
3.応募の決め手は「わかる」量で決まる
4.内定承諾を左右する「最後の安心材料」をつくる
5.まとめ


それでは早速、本題に入っていきましょう!

目次

1. SNSは「認知拡大」には向かない

まず、SNS採用で失敗する最大の理由は、
SNSを既存の採用手法の代わりにしようとするということです。

たとえば、

  • 求人広告 → 応募が来ないからSNSに切り替える
  • エージェント → 紹介が来ないからSNSに切り替える

この発想は基本的にうまくいきません。
なぜなら、求職者の体験設計とSNSの役割が合っていないからです。

(参考:求職者の6Steps/株式会社ベイジ)

上記は、求職者の転職活動の流れと、それに付随した各採用手法について記載された図なのですが、
冒頭でも伝えたように、転職希望者の行動にはいくつか段階があります。

最初の認知のフェーズについては、

  • 社名を知らない
  • 聞いたことはあるけど何の会社かは知らない
  • 道路沿いの看板で見た気がする

このような状態から「理解」のフェーズに持っていく必要があります。
ここでSNSを使っていくことを考える方も多いと思うのですが、
実は、SNSはあまりこのフェーズが得意ではありません。

というのも、そもそも転職活動を目的としてSNSを利用している人は本当に一部で、
普段のSNSは、Instagramで美味しいご飯屋さんを探したり、好きなコーディネートを探したり、
旅行や子育ての情報を集めたり…と、「新しいものをキャッチする」という使い方が主流です。

一方で、転職活動は、自分の将来を左右する大きな決断です。
普段のSNSのように、気軽にスクロールしながら完結できるものではなく、
多くの人が、慎重かつ真剣に、情報を集めながら向き合っています。

そのため、採用SNS(オウンドメディア)では、
土日や年末年始などの時間がたくさんあるタイミングほど閲覧数が下がります

これは、

「休みの日くらいは転職のことを考えたくない」
「気軽な気持ちでは採用情報を見たくない」

という求職者の心理が強く反映されているためだと思います。
つまり、SNSを認知ツールとして使おうとすると、根本的に求職者の行動特性とズレが生じます。

SNSは、大前提転職をしたい人が情報を集めるプラットフォームではありません

「認知」を目的とした場合は、従来の求人広告や転職エージェント、ハローワークなどの
求人ツールやメディアでの露出の方が効果は出やすいのです。

他には、本来的には”メディア”という単語に当てはめるものではありませんが、
リファラル採用(=社員による紹介)は、社員自身が「媒体」として企業の名前を紹介するため、
非常に高い精度で認知が広がるメディアとも言えます。

SNSは認知の主戦場ではない。

ここを押さえることで、「SNSで頑張っているのに見られない」という誤解が解消され、
その本来の役割が見えてきます。

2. SNSは「理解を深める箱」として活かす

企業名を認知した求職者は、次に
この会社はどんな人たちが、どんな価値観で働いているのか
という「理解」を求め始めます。

しかし、既存の求人メディアで得られる情報は限られており、
求職者が本当に知りたい「中身」にまではなかなか届きません。

そこで効果を発揮するのがSNSです。
ただその前に、SNS運用で多くの企業が混同しがちな
2つのポイントを明確にしておく必要があります。

SNS運用で混同されやすい「投稿」と「広告」の違い

① SNS投稿

SNS投稿は、企業の日常や雰囲気、社員の姿を継続して発信することで
求職者の理解と共感を深める役割を担っています。

求人票では決して伝わらない、企業の内側のリアルが求職者の目に触れることで、

  • 社員紹介
  • 仕事の様子
  • 組織文化
  • 社長・上司の価値観
  • オフィスの空気感

といった情報が蓄積され、求職者が「ここで働く自分」を想像しやすくなるのが特徴です。

SNS投稿は、求職者が「理解したい」と思ったときに見に来る「箱」としての役割 を果たします。


② SNS広告(有料配信)

一方でSNS広告は、InstagramやTikTokなどのプラットフォームに
広告として表示させるための施策で、より多くの人に届ける目的で利用されます。

広告は閲覧数を増やすことはできますが、
SNSの特性上、「転職目的」でSNSを見ている人はごくわずかです。
そのため、広告は「認知は広がりやすいが、応募や行動にはつながりにくい」という構造的な特徴があります。

採用において、SNS広告は単体で成果を生むものではなく、補助的な役割として使う方が現実的です。

SNSの本質は、ミクロな情報の積み重ね

SNS投稿と広告の役割を整理したうえで、
SNSが採用に強い理由は「細かな情報の積み重ねができる点にあります。

求職者が知りたいのは、事業内容の説明よりも、
この会社の人たちは、どんな想いで働いているのか」
「どんな雰囲気なのか」といった「温度のある情報」です。

SNSはテキスト・写真・動画を通じて、
企業の空気感そのものをじっくり伝えることができます。

  • 仕事への向き合い方
  • 日々のコミュニケーション
  • 社員同士の距離感
  • 一日の過ごし方
  • 価値観や文化
  • 成長を支える仕組み

こうして企業のリアルな情報がSNS上に蓄積されていくことで、
求職者の中で「理解」が深まり、
「ここなら自分に合いそうだ」「この価値観が好きだな」
という「好意」が自然と芽生えていきます。

SNSは、この理解から好意へのプロセスを最も効率よく生み出せる媒体なのです。

3.応募の決め手は「わかる」量で決まる

以前の転職活動は、「辞めたい → 転職サイトを見る → 転職する」という直線的な行動でした。

しかし、現代では「今すぐ辞めたい」よりも
いつかは転職したい」「良い会社があれば」 というゆるい転職活動を経て、
その人の人生を動かすきっかけがあったタイミングで転職をするという、
非常に長いスパンでの転職活動が増えています。

だからこそ、転職を真剣に考え始めたその瞬間に、
思い出してもらえる企業になっているかどうかが勝負になります。

本気で入りたい会社は少ないのに、「わからないから受けない」

転職サイトには無数の求人が並んでいますが、いざ求職者が「本気で検討できる会社」を選ぶとなると、
給与・働き方・通勤時間・職種…、これらの選択軸を掛け合わせていくと、多く見えて実は「数社しか残らない」のが現実です。

にもかかわらず、その数社に応募しない理由の多くはわからなかったから

企業は情報を出しているつもりでも、会社概要・事業内容・社長挨拶だけでは、
求職者が本当に求める、

この会社に入っても後悔しないだろうか?

という疑問に答えられていないことが多いのです。

転職の目的は、人生をよりよくすることです。
その確信が持てない限り、応募という行動には移りません。

SNSは「思い出す理由」と「確信の材料」を同時に育てる

SNSが強いのは、
強制ではなく、継続的に接触が生まれるところです。

投稿が流れてくるたびに少しずつ、

  • 企業の空気感
  • 価値観
  • 働いている人の雰囲気
  • 仕事内容のリアル

といった 「わかる情報」がストックされていきます。

この積み重ねが、求職者の中に
そういえばあの会社、雰囲気よかったなという「想起」を作ります。

ここからがSNS採用の本領です。
SNSはただ思い出されるだけでなく、投稿の蓄積によって

  • 自分ならこう働けそう
  • この先輩みたいになりたい
  • この会社なら後悔しなさそう

自分を投影するステップ(自分事化までつなげられるのです。

SNS採用は、求人票では不可能な自分の未来を想像できる状態 を作り出せるため、
求職者が一歩踏み出すための後押しとなり、結果として採用成果につながりやすくなります。

4. 内定承諾を左右する「最後の安心材料」をつくる

採用の最終フェーズである「決意(内定承諾)」は、
求職者にとってもっとも慎重になり、もっとも迷いやすい瞬間です。

求職者がこの段階で最後に求めているのは、
仕事内容や条件といった「表に見える情報」ではなく、安心して決断できるための確信です。

この会社の人と自分は合いそうか、雰囲気は心地よいか、価値観に共感できるか、
そして「ここで働く自分」を具体的に想像できるか——

こうした「後悔しないための材料」は、求人票だけではなかなか満たすことができません。

そこで力を発揮するのがSNSです。

日々の投稿には、社内の空気感や人の温度感、考え方、日常の積み重ねといった、
企業のリアルが蓄積されています。

求職者は内定承諾の前にこれらの投稿を見返すことで、

「この会社なら大丈夫そうだ」
「自分はここで働けそうだ」

と、安心感を補強していきます。

だからこそ、内定を提示した瞬間に、
求職者が自分の目で再確認できる情報があるかどうかが重要なポイントになります。

5. まとめ

SNSは求人広告の代わりでも、魔法の採用ツールでもありません。
SNSの価値は、求職者の体験に沿って「理解→好意→想起→自分事化→決意」を補強できる点にあります。

そのために必要なのは、「どのフェーズで何を伝えるのか?」という戦略的な設計です。

  • SNSを通じて最終的に何が伝わっていてほしいのか
  • その会社ならではの「強み」はどこにあるのか

弊社では、こういった点を、経営者や現場の方のお話を伺いながら時間をかけて言語化していきます。

また、SNS採用の成功と失敗を分けるポイントは、
どの投稿からも一貫したメッセージが伝わるか という点にあります。

そのため、まずは「信頼を大事にする」「挑戦できる環境」など、企業ごとの「軸」を明確にし、
すべての投稿がその軸とズレていないかを確認しながらコンテンツを設計しています。

Team Forwardの大きな強みは、採用のプロである私たちがコンテンツを設計できる点にあります。

SNS運用会社やWeb制作会社は、ツールを作り、扱う専門家ではありますが、
求職者がどんな情報を求め、どんな言葉に安心し、何を知ればこの会社で働きたいと思えるのか?といった、
採用ならではの視点」は、採用の現場にいないと掴むことは出来ません。

私たちは日々の採用支援の中で、求職者の不安や期待に直接触れながら、
どんな情報が意思決定につながるのかを深く理解しています。

だからこそ、ただ投稿を並べるのではなく、
求職者の心にきちんと届く内容を軸にしたSNSコンテンツをご提案出来ます。

SNS採用を検討している企業様は、
そもそも本当にSNSが必要なのか? というところからでも構いません。
無駄なコストをかける前に、ぜひ一度Team Forwardにご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社チームフォワード代表取締役。
静岡県立浜松南高校 卒業。
静岡県立大学 経営情報学部 卒業。
株式会社マイナビで10年以上の人材コンサルティング経験。静岡県内の中途採用部門責任者として地方企業の採用支援に従事した後、教育研修事業部門の営業部長となり、日本を代表する大手企業への人材育成・組織開発のコンサルティング営業、及び、組織マネジメントを行う。
地元静岡にUターンし、転職エージェントで企業担当/キャリアアドバイザーを経験。                  
2022年 株式会社チームフォワード 創業。

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