転職エージェントを「営業」で終わらせない。採用をともに創るパートナーシップの築き方

こんにちは、TEAM FORWORDの竹田です。

採用活動をしていると、転職エージェントからの電話やメールを受け取ることがあると思います。
「求人を拝見してご連絡しました」と始まるやり取りは、一見すると営業の連絡に見えるかもしれません。

しかし実際のところ、転職エージェントの営業は“普通の営業”とは根本的に違う構造で動いています。
その仕組みを理解し、上手に関係を築くことで、採用の成果は驚くほど変わります。

今回は、採用活動の中で見落とされがちな「転職エージェントとの向き合い方」についてお話しします。

【目次】
1.転職エージェント視点で見る採用:決める、見極める、選ばれる
2.転職エージェントが本気で動く企業の特徴
3.転職エージェントは「取引相手」ではなく「共に採用をつくるパートナー」
4.まとめ


それでは早速、本題に入っていきましょう!

目次

1.転職エージェント視点で見る採用:決める、見極める、選ばれる

転職エージェントからの連絡を受けたとき、「また営業か」と感じるのは自然なことです。
ただ、冒頭でも少し触れたように、その裏側には他の採用商材とは全く異なるビジネスモデルがあります。

売る営業と決める営業のちがい

一般的な営業職は、商品やサービスを「売る」ことで利益を得ます。
契約が成立した時点で売上が発生するため、目的は「販売」です。

一方、エージェントの報酬は成功報酬型
候補者の「入社」が決まって初めて売上になります。紹介しただけでは利益になりません。

そのため、エージェントにとってのゴールは「紹介」ではなく「成約」です。
もちろん、成約が難しいポジションを決めることもエージェントの腕の見せどころですが、
現実的には、限られた時間とリソースの中で、「成約しやすい会社」により多くの力を注ぐのは、
仕組みとして当然の流れです。

だからこそ、転職エージェントに「この会社は決まりそうだ」「一緒に採用を成功させたい」と感じてもらえることが重要になってきます。

「見られている」のは企業側でもある

転職エージェントが日々行っているのは「成約できる会社かどうか」の見極めです。

採用基準が明確で、対応が早く、面接官の印象が良い会社は「決まりやすい会社」として優先度が上がります。
一方で、連絡が遅い、条件が曖昧、対応が高圧的……
このような企業は、「紹介しても決まらないだろうな」と判断されやすいのです。

また、ここで忘れてはいけないのは、転職エージェントは企業のパートナーであると同時に、
候補者の代理人でもあるということです。

たとえば、やり取りの中で返信が遅かったり、対応がぶっきらぼうだったりすると、
転職エージェントは「この会社の面接官がこういう対応なら、候補者も同じ印象を持つだろう」と感じます。
採用後の定着までを見据えてサポートしている転職エージェントにとって、
「入社後にミスマッチが起こりそう」と思われる企業は、どうしても慎重に扱わざるを得ません。

こうした印象は、エージェントの中で「蓄積される情報」として共有されていきます。
そして今や、転職希望者の多くがエージェントを経由して転職活動をしているため、
その印象が、候補者との出会いを左右する大きな要素になり得るのです。

採用活動は、企業の日々の姿勢そのものが伝わるプロセスでもあります。
ひとつひとつの対応を丁寧に積み重ねることが、結果的に「紹介したくなる会社」への近道になります。

2.転職エージェントが本気で動く企業の特徴とは

転職エージェントは常に大量の求人を扱っていますが、
実際に力を入れて紹介を重ねることが出来る企業はごく一部です。

前の章でも少し触れましたが、エージェントは、限られた時間とリソースの中で
「どの企業なら採用成約を実現できるか」を常に見極めています。

その中で、転職エージェントに選ばれる企業には、いくつかの共通点があります。
条件が良い企業、はもちろんですが、採用に本気で向き合っている企業 はその対象になります。

  • 判断が早い:応募から面接までがスムーズ
  • コミュニケーションが丁寧:返信が早く、誠実に対応してくれる
  • 採用要件が明確:何を求めているかがブレない
  • 候補者に好印象:面接官の人柄が伝わる

こうした基本的なことを丁寧に積み重ねられる企業は、エージェントから「紹介しても安心」「成約しやすい」と認識され、結果としてサポートの優先度が自然と高まっていきます。

そして、採用において大切なのは、条件の良し悪しだけではありません

「うちは条件があまり良くないから、なかなか採用につながらない」
と感じている方もいるかもしれませんが、それは一概には言えないのです。

実際には、日々のやり取りの丁寧さや、採用担当の方の誠実な姿勢が、
求人条件を超えて応募理由につながるケースも多くあります。

たとえば、応募者が「未経験なので、入社してからやっていけるか不安です」と話した際に、
「では次回、未経験から活躍している社員を同席させるので、気になることがあれば聞いてみてくださいね」
などと提案できるだけで、応募者の不安を解消することができ、結果的に採用につながることもあります。

つまり、日々の誠実な姿勢や人との向き合い方が、求人条件以上の信頼を生み出します
それが、転職エージェントからも候補者からも「選ばれる企業」への第一歩になるのです。

3. 転職エージェントは「取引相手」ではなく「共に採用をつくるパートナー」

転職エージェントが候補者に企業を紹介するとき、
最初に伝えるのはその会社の魅力です。

給与や待遇といった条件面だけでなく、社風、チームの雰囲気、上司や社長の人柄など、
数字に表れない要素こそが、紹介する理由になり得ます。

だからこそ、企業側が転職エージェントに情報をどれだけ渡せるかが鍵になってきます。

「うちは特に特徴がない」と言ってしまうと、転職エージェントは候補者に紹介する材料を失い、
結果的に他社に優先的に人を紹介することになります。

一方で、

  • 社員のエピソードや成長ストーリー
  • チームでの取り組みや社内イベント
  • 経営者の想いや価値観

といった、求人票には載らないけど「人の温度」が伝わる情報を伝えられる企業は、
「候補者に勧めやすい会社」としてエージェントの記憶に残ります。

こうした情報を共有することは、紹介されるチャンスをつくることでもあります。
採用活動の成功は、企業とエージェントがどれだけ情報を「共通言語」として持てるかにかかっています。

そしてもうひとつ大切なのが、エージェントを信頼して任せる姿勢です。

エージェントは、条件に機械的に合う人を送っているわけではありません。
ひとりひとりと向き合いながら、「この人なら社風に合いそうだ」と感じた人を提案しています。

だからこそ、ときには要件外の候補者を紹介することもあります。

「年齢は少し上ですが、社風的にすごく合いそうなんです」
そんな提案には、プロとしての確信があります。数えきれない採用の現場を見てきたからこそ、
スキルよりも人の「合う・合わない」を感じ取る感覚に自信を持っているのです。

また、面談後のフィードバックも重要です。
「主体性を持って業務に取り組んできた経験を、もう少し具体的に話せたら良かった」など、具体的なコメントを返すことで、次回以降の紹介精度は少しずつ、でも、確実に上がります。

情報を共有し、信頼して任せる。

この2つの積み重ねが、エージェントを「取引相手」から「ともに採用をつくるパートナー」へと変えていきます。その関係性が深まるほど、採用はより強く、確実なものになっていきます。

4. まとめ

いま、採用の手法は多様化しています。

ダイレクトリクルーティングや採用SNSなど、企業自らが発信する手段も増えました。
その中で、転職エージェントが持つ唯一無二の強みは「人が介在する」ことです。

文字や数字では伝えきれない熱量を、人が人に伝える。
その信頼のリレーこそが、最終的に「会ってみよう」と思わせる力になります。

海外では、「経営者が持つべき5人の友人」の1人が転職エージェントであると言われることもあります。
それほどに、優秀な人材をつなぐ存在は経営において欠かせないパートナーです。

採用を「自社だけで完結させるもの」と捉えるのではなく、
「ともに採用をつくるパートナー」としてエージェントと向き合ってみてください。

今回は、転職エージェントにはたらく力学を紹介しましたが、
それとはまったく別の観点で最後にひとつお伝えします。

転職エージェントで活躍する人たちは、世の中に数多ある職業の中で、
「人と企業をつなぐ仕事」を敢えて選択した、人への想いが強い人たちです。

目の前の転職希望者が望む未来を実現してあげたいと願っており、
少なくとも、私の知る限り、”売上にしか興味がない”というタイプでは全くありません。

その想いを信じて、真正面から向き合うことからはじめてみてはいかがでしょうか。
その一歩が、次の採用成功につながるはずです。

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この記事を書いた人

株式会社チームフォワード代表取締役。
静岡県立浜松南高校 卒業。
静岡県立大学 経営情報学部 卒業。
株式会社マイナビで10年以上の人材コンサルティング経験。静岡県内の中途採用部門責任者として地方企業の採用支援に従事した後、教育研修事業部門の営業部長となり、日本を代表する大手企業への人材育成・組織開発のコンサルティング営業、及び、組織マネジメントを行う。
地元静岡にUターンし、転職エージェントで企業担当/キャリアアドバイザーを経験。                  
2022年 株式会社チームフォワード 創業。

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