無意識が採用を失敗させる?採用活動で知っておきたい心理バイアス

こんにちは、TEAM FORWARDの竹田です。
厳しい採用環境が続くなか、そもそも応募を集めるだけでも
苦戦している企業は多いのではないでしょうか。
本日は、そんな時代だからこそ気を付けたい「採用の失敗」と、
その原因の一つになりやすい心理バイアスについてお話しします。
それでは早速、本題に入っていきましょう!
1.なぜ「採用してはいけない人」を採ってしまうのか
本日お話しする採用の失敗とは、
採用してはいけない人材を採用してしまうことです。
もちろん、採用してはいけないと分かっていて採用する方は、
基本的にはいないはずです。
どの企業も面接を重ね、「この人なら大丈夫」と判断したうえで
採用を決めているはずです。それでも、採用してはいけない人材を採用して、
早期離職につながってしまうケースは私の耳にも定期的に入ってきます。
面接のときは良いと感じたのに、入社してみたら「思っていた人と違った」。
そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
真剣に選んだはずなのに、なぜ判断がずれてしまうのか。
その原因の一つに、誰もが無意識のうちに持っている、
「心理バイアス(思い込みや判断のクセ)」があります。
なかでも採用の場面で働きやすいのが、サンクコストという心理バイアスです。
サンクコスト(埋没費用)とは、過去に払ってしまい、
出典:https://www.jumonji-u.ac.jp/sscs/ikeda/cognitive_bias/cate_d/d_21.html
もはや取り戻すことができない費用のことです。
したがって将来に関する意思決定をする場合、
サンクコストは考慮に入れず、今後の損益をだけを考えるのが合理的な判断です。
しかし、将来にわたって金銭的・精神的・時間的な投資を
しつづけることが損失になることが明らかであっても、
それまでの投資によって失った費用や労力を惜しみ、
投資を継続することがあります。これがサンクコスト効果です。
2.採用活動で起きやすいサンクコスト効果
サンクコストが特に働きやすいのが、求人広告のような前払い型のサービスです。
例えば、求人広告に30万円をかけて、5人から応募があったとします。
この場合、5人一人ひとりについて、
自社の採用基準を満たしているかどうかを見ていく必要があります。
満たす人がいれば採用し、いなければ採用しない。
これが、本来あるべき考え方だと思います。
ところが、サンクコストが働くと、
「30万円かけたからには、誰か採用しないと損をする」
というマインドになりやすくなります。
すると、無意識のうちに「5人の中から一番いい人を選ぶ」という
選び方に替わってしまうことがあります。
5人の中に基準を満たす人がいれば問題はありませんが、
このように「集まった中で一番いい人」を採用してしまうと、
本来の採用基準からかけ離れた採用になってしまうのです。
これは、有料媒体に限らず、無料媒体のハローワークでも起きることがあります。
費用はかかっていなくても、なかなか応募が来ないと
「今採らないと、もう採れないのではないか」という焦りが生まれ、
基準がずれてしまうというサンクコスト効果に近い心理状態が発生するケースです。
3.「合わない人を採用してしまうこと」で生まれる損失
では実際に、「30万円がもったいない」という気持ちから生まれた採用が、
どんな結果につながるのか。
採用の失敗がどの段階で起きるかによって
損失の大きさがどの程度異なるか、次の前提で試算してみました。
- 求人広告費:30万円
- 応募者:5人
- 新入社員の月給:25万円
- 育成を担当する上司の月給:40万円(仕事時間の5分の1を育成に充てる)
- 面接の人件費:上司が1人1時間面接した場合、1人あたり約3,000円(5人で約1.5万円)
※給与はいずれも、社会保険料の会社負担を含めて計算
| ケース | 損失額 |
|---|---|
| 誰とも面接せずに不採用 | 30万円 |
| 5人と面接して不採用 | 31.5万円 |
| 1人採用して、1ヶ月で退職 | 約70万円 |
| 1人採用して、6ヶ月で退職 | 約262万円 |
6ヶ月で退職した場合の内訳は、次のとおりです。
- 求人広告費:30万円
- 面接の人件費:約1.5万円
- 本人の給与と社会保険料:約174万円
- 上司が育成に使った時間:約56万円
もちろん、半年働いていれば業務をしているので、
すべてが無駄なコストというわけではありませんが、
入社6ヶ月といえば、まだ育成期間という企業が多いのではないでしょうか。
さらに、上記の試算には含まれない損失もあります。
例えば、新入社員の退職による、チーム全体のモチベーション低下。
例えば、先輩が指導やフォロー、メンタリングに充てた業務時間。
今回の試算には上司の育成時間しか入れていませんが、数字に出していないだけで、
実際に失っているものはたくさんあるのではないでしょうか。
また、入社してすぐに辞める方は、私の経験ではそれほど多くありません。
仮に入社時から違和感を感じていたとしても、
2〜3ヶ月様子を見てから「辞めたい」と言ってくるケースが多く、
そこから手続きなどを進めると4〜5ヶ月かかることもあります。
そう考えると、6ヶ月で退職というのは、決して珍しくないパターンです。
30万円を無駄にしたくないという気持ちが、結果的に262万円の損失になって返ってくる。
いちばん怖いのは「応募がないこと」ではなく、
「合わない人を採用してしまうこと」なのではないでしょうか。
4.まとめ
投資した広告費がもったいないと感じるのは、ごく自然なことです。
きもちとしては十分に理解ができます。
ただ、その30万円は、採用してもしなくても、もう戻ってはこないお金です。
だからこそ、「集まった中で一番いい人」ではなく、
「採用基準を満たしているかどうか」で判断することが、
とても大切になってきます。
- 「せっかく広告を出したから」と、基準を少し下げて採用したことがある方
- 応募が少なく、焦って採用を決めてしまった経験がある方
- 入社してすぐの離職が続いている方
そういった方は、面接の場で一度「今、サンクコストに引っ張られていないかな?」と
立ち止まってみるだけでも、採用の失敗を減らすことにつながるのではないでしょうか。
採用に関するご相談はもちろん、90分無料相談も承っておりますので、
この記事を読んで思い当たることがあった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

